
史上最年少での受賞とのことです。
青羽 悠は、16歳の高校2年生なのです。
『小説すばる新人賞』というと、後に直木賞作家となる逸材を多く輩出していることでも知られています。
一例を挙げると、映画にもなった「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウが、後に「何者」で直木賞を受賞しています。
そういう点で、文学界の中では特に注目されている新人賞とも言えます。
今回審査員を務めた宮部みゆきさんは、青羽 悠のことを「ダイヤの原石」と称賛したそうです。
小説は、街の “プラネタリウムのある科学館” から始まります。
そこに集まる “宇宙が大好きな高校生の4人組” 、そして “科学館の優しい館長” が登場人物です。

大学卒業後、4人のうち一人は公務員、一人は家業、一人は科学館の職員、そして一人は大学院で宇宙の研究を続けるなど、それぞれの道を歩みます。
そんなある日、優しかった館長が亡くなるのです。
そして、科学館も閉館することとなり、科学館の資料を整理していたところ、館長の私物ファイルの中に “難解な数式” を発見します。
それは、館長の夢の足跡であると同時に、4人に残した思いでもありました。
青羽 悠の得意科目は数学と言うことで、“夢” を描くために “数式” を持ち出すところなどは、現役高校生ならではの発想なのかなと思います。
数式や数学が登場する作品は、ほかにもたくさんあります。
最近では、西加奈子さんの「i(アイ)」という小説に、実在しない数字である「虚数i」が登場します。

また、有名なところでは、小川洋子さんの「博士の愛した数式」に、世界で最も美しいといわれる「オイラーの公式」が登場します。

日常の中で数学そのものに触れることはあまりないので、このように数学と日常(現実)を結びつけられると、逆に説得力があります。
そして、この小説で、青羽 悠の描きたかったことは、「夢が叶うこと」「夢が叶わないこと」「夢に迷うこと」、この3つ全てを “肯定” することだそうです。
全部を肯定するあたりも、高校生ならではという感じがします。
今後の活躍が楽しみです。
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